統計検定 1級 過去問 解答/解答例と解説
2015年11月29日 (日) 試験

統計数理 問2 [5]

設問の要約
  • [4] の検定は,有意水準 α の一様最強力検定であることを,ネイマン–ピアソンの基本定理に基づいて示せ.

解答例

帰無仮説,対立仮説は,

H0 : μ=0
H1 : μ=μ1  (>0)
であり,いづれも単純仮説である.

確率変数 X1,,XnN(μ,1) の観測値として x1,,xn が得られたとする. ここで,x=(x1,,xn)T と書くとすると, x の同時密度関数 f(x;μ)は,

f(x;μ)=i=1n12πexp[(xiμ)22]=(12π)nexp[12i=1n(xiμ)2]
これより,
f(x;μ1)=(12π)nexp[12i=1n(xiμ1)2]
f(x;0)=(12π)nexp[12i=1nxi2]
最強力検定は,
f(x;μ1)f(x;0)=(12π)nexp[12i=1n(xiμ1)2](12π)nexp[12i=1nxi2]=exp[12i=1n(xiμ1)2]exp[12i=1nxi2]=exp[12i=1n(xiμ1)2+12i=1nxi2]=exp[μ1i=1nxi12nμ12]=exp[μ1nx¯12nμ12]=exp[μ1n(x¯12μ1)]>c
 x¯>c
ここで,c は,帰無仮説 H0 の下で,次を満たすように選ぶ.
P(X¯>c)=α
よって,c=zαn と選べば,
X¯>zαn
は,最強力検定であることがわかる.また,この棄却域は,μ1 に依存しないので,一様最強力検定である.