統計検定 1級 過去問 解答/解答例と解説
2015年11月29日 (日) 試験

統計数理 問3 [3]

設問の要約
  • β^1,β^2 の分散を S11,S22,S12,σ2 を用いて表わせ.

  • r12=0 の場合と r120 の場合を比較したとき,β^1,β^2 の分散はどのように変化するか.

解答例

β^ の分散は,次の式で与えられる.

V[β^]=σ2(XX)1
[2] で求めた XX を代入すると,
V[β^]=σ2(n000S11S120S12S22)1
V[β^1] は,分散共分散行列 V[β^] の第 2 行,第 2 列の要素であるから,
V[β^1]=σ2|n000S11S120S12S22|(1)2+2|n00S22|=σ2n(S11S22S122)(nS220)=σ2S22S11S22S122
V[β^2] は,分散共分散行列 V[β^] の第 3 行,第 3 列の要素であるから,
V[β^2]=σ2|n000S11S120S12S22|(1)3+3|n00S11|=σ2n(S11S22S122)(nS110)=σ2S11S11S22S122

V[β^1]V[β^2] は,分母分子を S11S22 で割れば, r12 を用いて次のように表すことができる.

V[β^1]=σ2S1111r122
V[β^2]=σ2S2211r122
r12=0 のとき,
V[β^1]=σ2S11
V[β^2]=σ2S22
r120 のときは,|r12| が 1 に近づくほど,r12=0 のときの V[β^1]V[β^2] の分散より大きくなる.