第7講 確率過程・時系列解析

ブラウン運動

ブラウン運動の数学的に厳密なモデルとして,ウィーナー過程と呼ばれる連続型確率過程がある. WtW(t) と書くことにし,ブラウン運動(ウィーナー過程)の定義は次の通りである.

  1. W0=0

  2. Wt は連続である.

  3. Wt は独立増分を持つ.すなわち,0stst であるならば,WtWsWtWs とが独立な確率変数となる.

  4. 0s<t なる任意の s, t に対して,WtWs は正規分布 N(0,σ2(ts)) に従う. 特に,s=0 ならば,WtN(0,σ2t)

また,

Wt  N(0,σ2t)
E[Wt]=0
V[Wt]=σ2t
Cov[Ws,Wt]=σ2min{s,t}
である.ただし,標準ブラウン運動では,σ2=1 である.

ところで,Ws, Wt の同時分布は,

(Wt,Ws)  N((μWtμWs),(σWt2σWtWsσWtWsσWa2))
また,Ws|Wt の条件付き密度関数は,
WsWt  N(μWs+σWtWsσWt2(WtμWt), σWs2σWtWs2σWt2)

ブラウン運動の性質

E[W3tWt=x]=E[W3tWt+WtWt=x]=E[W3tWt+xWt=x]=E[W3tWtWt=x]+x=E[W3tWt]+x=E[W(0,2t)]+x=x
V[W3tWt=x]=V[W3tWt+WtWt=x]=V[W3tWt+xWt=x]=V[W3tWtWt=x]=V[W3tWt]=V[W(0,2t)]=2t
E[eαWs+βWt]=E[e(α+β)Ws+β(WtWs)]=E[e(α+β)Ws]E[eβ(WtWs)]=MW(0,s)(α+β)MW(0,ts)(β)=es2(α+β)2et22β2=es2(α+β)2+t22β2