統計検定 準1級 例題集 解答/解答例と解説

選択問題及び部分記述問題 問9

問題の要約
  • Wχ2(m)

  • m が大きいとき,W 及び W の分布は正規分布で近似することができる.

  • それぞれの正規分布を求めよ.

解答

答 : ⑤

自由度 mχ2 分布では,平均 m,分散 2m である. χ2 分布は,自由度 m が大きくなると正規分布に近づくことが知られている. よって,

w d N(m,2m)

W の分布については,デルタ法を用いる.

g(x)=x
とおくと,
g(x)2=(12x)2=14x
自由度 m が十分大のとき,w は漸近正規性
w d N(m,2m)
を持つ.また,
E[Wm]=1mE[W]=1mm=1
V[Wm]=1m2Var[W]=1m22m=2m
であり,
Wm d N(1,2m)
自由度 m が十分大のとき, 分散 2m は小さくなる.

デルタ法より,g(Wm)=Wm は次のような漸近正規性を持つ.

g(Wm) d N(g(1), 2mg(1)2)
 Wm d N(1, 2m14)
 Wm d N(1, 12m)
よって,
mWm d N(m1,  (m)212m)
 W d N(m, 12)

補足1: デルタ法

確率変数 X の分散 σ2 が小さく,近似的に,

X  N(μ,σ2)
のとき,
f(X) d N(f(μ),f(μ)2σ2)
で近似できる.