統計検定 準1級 過去問 解答/解答例と解説
2017年06月18日 (日) 試験

選択問題及び部分記述問題 問7

問題の要約
  • 実験条件 A : 4水準 A1,A2,A3,A4

  • ブロック因子 R : 実験日の気温や湿度など

  • 生産量が最も高くなる水準を求めたい.

  • 実験条件と実験日の影響との間の 交互作用は無視できる

  • 3日間で合計12 個の観測値からなる実験データ

  • 分散分析の方法について,最も適切なものを一つ選べ.

解答

答 : ⑤

次の表のように実験データが得られたとする.

水準 A1 A2 Aa  
R1 x11 x21 xa1  
R2 x12 x22 xa2  
R3 x13 x23 xa3  
予測値 x¯1 x¯e x¯a 総平均 x¯¯

ここで,

a=4r=3
とおく.

実験条件 A のみ,繰返し数 3 の 1 元配置分散分析は次のようになる.

要因 平方和 自由度 平均変動 分散比
A SA ϕA=a1 VA=SAϕA F=VAVe
e Se ϕe=ara Ve=Seϕe  
合計 ST ϕT=ar1    

実験日 R と実験条件 A の 2 因子による 2 元配置分散分析は次のようになる.

要因 平方和 自由度 平均変動 分散比
A SA ϕA=a1 VA=SAϕA FA=VAVe
R SR ϕR=r1 VR=SRϕR  
e Se ϕe=arar+1 Ve=Seϕe  
合計 ST ϕT=ar1    
  • 誤り.

    「残差分散の大きさは等しくなり,実験条件 AF 値は変わらないので,どちらの解析法でもよい.」は誤り.上の2つの表から,残差分散の大きさは異なるので,実験条件 AF 値は異なる.

  • 誤り.

    [1]と同じ条件のとき,「残差分散の大きさは異なるものの,実験条件 AF 値は変わらないので,どちらの解析法でもよい.」は誤り. 1元配置分散分析と2 元配置分散分析では,実験条件 A の平均変動は同じであるが,残差が異なるので,実験条件 AF 値は異なる.

  • 誤り.

    「後者による実験条件 A の平方和が常に大きくなり,実験条件 A の効果の検出がしやすくなる.」は誤り.1元配置分散分析と2 元配置分散分析で,実験条件 A の平方和は同じ値になる.

  • 誤り.

    1元配置分散分析において,「実験日の影響が大きくても,残差分散の自由度が大きくなり実験条件 A の効果の検出力が高くなる.」は誤り.1元配置分散分析と2 元配置分散分析で,残差分散の自由度は同じになる.

  • 正しい.

    2 元配置分散分析において,「実験日の影響を含まない残差分散により F 値を求めるので,実験条件 A の効果の検出がしやすくなる.」は正しい.全体の平方和は,ST=SA+SR+Se というように分解することができ,Se には実験日の影響は含まれない.よって,実験条件 AF 値は,SA/ϕASe/ϕe で求めることから, 実験条件 A の効果の検出がしやすくなると言える.