統計検定 準1級 過去問 解答/解答例と解説
2016年06月19日 (日) 試験

論述問題 問1 [1]

設問の要約

台数の上陸数がポアソン分布に従うか検定する.

(1)

  • 「平均 2.84,標準偏差 1.67 であることからもポアソン分布に従う」という意見の意味することは何か.

(2)

  • 台風の上陸数が λ=2.84 のポアソン分布に従うと仮定する.次の表を用いて期待度数を求めよ.

    ※表は解答に記載

(3)

  • χ2 統計量 : 24.28

  • 適合度検定の有意水準 : 5%

  • 棄却域の設定に必要となる数値を示し論ぜよ.

  • 統計量を大きくしている要因について考察せよ.

(4)

  • 上陸回数 6回以上をまとめる.

  • まとめたときとまとめないときの検定結果を比較し,当てはまりの良さについて論ぜよ.

解答例

(1)

分散は,(1.67)2=2.7889 となり,平均 2.84 とほぼ一致することから,ポアソン分布に従うと考えている.

(2)

期待度数は次の表のようになる.χ2 統計量は 30.85 となっており,問題文の 24.28 と異なっている.これは丸め誤差が原因かと思われる. ここでは,問題文の 24.28 が正しいとする.

上陸回数 観測度数 確率 期待度数 ()2 ⑤/④
0 4 0.058 3.74 0.07 0.02
1 7 0.166 10.62 13.10 1.23
2 17 0.236 15.08 3.69 0.24
3 18 0.223 14.28 13.87 0.97
4 10 0.158 10.14 0.02 0.00
5 5 0.090 5.76 0.57 0.10
6 2 0.043 2.72 0.53 0.19
7 0 0.017 1.11 1.22 1.11
8 0 0.006 0.39 0.15 0.39
9 0 0.002 0.12 0.02 0.12
10以上 1 0.001 0.04 0.93 26.47
64 64.00 χ2 = 30.85

(3)

この適合度の検定の帰無仮説は,

H0 : 上陸数はポアソン分布に従う.

である.10カテゴリあることから,自由度は 9 である.よって,

24.28>χ0.052(9)=16.92
となるので,帰無仮説は棄却される.

統計量を多くしているのは,(2)の表の⑥列からわかるように,「10以上」で期待度数と観測度数が,他のカテゴリよりかけ離れていることが原因である.

(4)

上陸回数 6回以上をまとめると次のようになる.

上陸回数 観測度数 確率 期待度数 ()2 ⑤/④
0 4 0.058 3.74 0.07 0.02
1 7 0.166 10.62 13.10 1.23
2 17 0.236 15.08 3.69 0.24
3 18 0.223 14.28 13.87 0.97
4 10 0.158 10.14 0.02 0.00
5 5 0.090 5.76 0.57 0.10
6以上 3 0.068 4.38 1.91 0.44
64 63.99 χ2 = 3.01

である.6カテゴリあることから,自由度は 5 である.よって,

3.01<χ0.052(5)=11.07
となるので,帰無仮説は棄却されない.

つまり,上陸回数 6回以上をまとめた方がポアソン分布の当てはまりがよい.