統計検定 準1級 過去問 解答/解答例と解説
2016年06月19日 (日) 試験

問題の要約

• 触媒作用を利用して低温で炭素を参加させる．

  表1: 実験結果 (炭素の酸化率 (%))

  	350°	400°	450°	平均
  白金	83, 87	80, 88	84, 94	86.0
  セリウム	70, 78	87, 89	78, 90	82.0
  コバルト	70, 80	81, 91	86, 96	84.0
  平均	78.0	86.0	88.0	84.0

  表2: 2元配置分散分析の分散分析表

  	平方和	自由度	平均平方	F-値
  触媒	48.00	2	24.00	0.624
  温度	336.00	2	168.00	4.370
  触媒×温度	168.00	4	42.00	1.092
  残差	346.00	9	38.44
  合計	898.00	17

1. 分散分析の結果から触媒と温度の交互作用は有意でないと判断．

   交互作用を誤差にプールして分散分析表を作り直した．

   この分散分析表について適切なものを選べ．

   ※選択肢は省略

2. 酸化率ができるだけ大きくなるような触媒と温度の最適水準と点推定値を求めよ．

解答

1. 答 : ④

   交互作用を誤差にプールすると，分散分析表は次のようになる．

   	平方和	自由度	平均平方	F-値
   触媒	48.00	2	24.00	0.607
   温度	336.00	2	168.00	4.249
   残差	514.00	13	39.54
   合計	898.00	17

   ① : 誤り．F値の和は一定ではない．

   ② : 誤り．F-値も自由度も変わるのでP-値も変化する．

   ③ : 誤り．F-値は変化する．

   ④ : 正しい．触媒と温度の平方和は同じで，残差の平方和は変化する．

   ⑤ : 誤り．残差の自由度は変化する．合計の自由度は変化しない．

2. 答 : ④

   調和補完法によれば， $F_{\alpha}(m, n_1)$ と $F_{\alpha}(m, n_2)$ から $F_{\alpha}(m, n)$ を次のようにして近似することができる．

   $$\begin{equation} F_{\alpha}(m, n) = F_{\alpha}(m, n_1) + \frac{\frac{1}{n_1} - \frac{1}{n}}{\frac{1}{n_1} - \frac{1}{n_2}}(F_{\alpha}(m, n_2) - F_{\alpha}(m, n_1)) \end{equation}$$
   F分布表より，
   $$\begin{equation} F_{0.05}(2, 10) = 4.103 \end{equation}$$
   $$\begin{equation} F_{0.05}(2, 15) = 3.682 \end{equation}$$
   調和補完法により，$F_{0.05}(2, 13)$ の値を求めると，
   $$\begin{align} F_{0.05}(2, 13) &= F_{0.05}(2, 10) + \frac{\frac{1}{10} - \frac{1}{13}}{\frac{1}{10} - \frac{1}{15}}(F_{0.05}(2, 15) - F_{0.05}(2, 10)) \\ &= 4.103 + \frac{\frac{1}{10} - \frac{1}{13}}{\frac{1}{10} - \frac{1}{15}}(3.682 - 4.103) \\ &= 3.811 \end{align}$$
   よって，温度は有意水準 5% で有意であるが，触媒は統計的に意味はない．

   温度の最適水準は表1 の平均値が最大となる 450°となる．また，その平均値が点推定値 88.0% となる．