統計検定 準1級 過去問 解答/解答例と解説
2015年06月21日 (日) 試験

選択問題及び部分記述問題 問13

問題の要約
  • A君のフリースローの成功率 θ を考える

  • Bさんは θ に関する情報を持っていない

    θ の事前分布 : U(0,1)

  • C君は θ に関する事前情報を持つ

    θ の事前分布 : Beta(5,5)

    f(θ)=1B(a,b)θa1(1θ)b1
    B(a,b)=01θa1(1θ)b1dθ

  • X : A君の n 回のフリースロー中での成功回数

  • XBin(n,θ)

  • 実際に A君がフリースローを 12回行ったところ 3回成功

  1. Bさんの θ に関する事後モードはいくらか

  2. Cさんの θ に関する事後モードはいくらか

解答
  1. 答 : ①

    B さんの事前分布は次のようになる.

    p(θ)=1    (0θ1)
    事後分布は,
    p(θx)=l(θx)p(θ)p(x)l(θx)p(θ)=nCxθx(1θ)nx1θx(1θ)nx
    この事後分布が確率分布となるためには,c を定数として
    01p(θx)dθ=c01θx(1θ)nxdθ=1
    これより,
    c=1B(x+1,nx+1)
    よって,
    p(θx)=1B(x+1,nx+1)θx(1θ)nx
    一般に,Beta(a,b) のモード (最頻値) は,a1a+b2 である. Bさんの θ に関する事後モードは,
    (x+1)1(x+1)+(nx+1)2=xn=312=0.25
    または,モードの公式を知らない場合は,次のようにして求めることができる.
    ddθp(θx)ddθθx(1θ)nx=xθx1(1θ)nx+θx(nx)(1θ)nx1(1)=θx1(1θ)nx1{x(1θ)θ(nx)}=θx1(1θ)nx1{xxθnθ+xθ}=θx1(1θ)nx1{xnθ}
    ddθp(θx)=0 とおくと,
    θ=xn=312=0.25

  2. 答 : ③

    C 君の事前分布は次のようになる.

    p(θ)=1B(a,b)θa1(1θ)b1θa1(1θ)b1    (0θ1)
    ただし,a=5,b=5 である. 事後分布は,
    p(θx)l(θx)p(θ)θx(1θ)nxθa1(1θ)b1=θx+a1(1θ)nx+b1
    この事後分布が確率分布となるためには,c を定数として
    01p(θx)dθ=c01θx+a1(1θ)nx+b1dθ=1
    これより,
    c=1B(x+a,nx+b)
    よって,
    p(θx)=1B(x+a,nx+b)θx+a1(1θ)nx+b1
    Beta(a,b) のモード (最頻値) は,a1a+b2 であるので, C 君の θ に関する事後モードは,
    (x+a)1(x+a)+(nx+b)2=(3+5)1(3+5)+(123+5)2=720=0.35
    または,p(θx)θ で微分して 0 とおくと,
    ddθp(θx)ddθθx+a1(1θ)nx+b1=(x+a1)θx+a2(1θ)nx+b1(nx+b1)θx+a1(1θ)nx+b2=θx+a2(1θ)nx+b2{(x+a1)(1θ)(nx+b1)θ}=θx+a2(1θ)nx+b2{(x+a1)(n+a+b2)θ}=0
    よって,
    θ=x+a1n+a+b2=3+5112+5+52=720=0.35